◇ 古くて新しいもの

◇ 合格実績の話

 

昔話になりますが、ある大手塾の責任者からアドバイスを頂いたことがあります。

【 塾を伸ばしたかったら、情に流されて、絶対、『負のスパイラル』に陥らないこと。】

塾は、単純に、上位3分の1の生徒の成績を伸ばし、上位校に合格させていけば、塾は伸びていく。

できない子たちに手間暇をかけても、合格実績がでないだけでなく、できない子たちがあつまり始めて、悪い評判がたち、『負のスパイラル』が始まり、やがて塾は滅びていく。

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そして、RОN塾の1期生の結果の話です。

『 浅野(1) 神大(1) 慶応普(1) 攻玉社(1) 芝(1) 渋渋(1) 頌栄(1) 洗足(1) 普連土(1) 早稲田(2) 』 

※1期生の主な合格校です。

これを、良い結果だと言う人が多いと思いますが、私にとっては、1期生の結果に、後ろめたさを感じて仕方がないのです。

この実績を出すために、半数以上の子どもたちを犠牲にしてしまった気がしてならないのです。

全員に、上位生に合わせた無理な授業を行ってしまった気がしてならないのです。

その結果、上位生は面白いほど簡単に合格していきました。ところが、多くの下位生は、上位生つられて、高いレベルの学校を受験したこともありましたが、受けても不合格、受けても不合格の連続でした。

他の塾の様子を見ても、下位生は本当に苦労していると思います。上位3分の1の子たちの合格実績が輝いているだけだと思います。

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右に、3年前の合格実績を載せました。実は、卒業生たちに怒られてしまうかもしれませんが、この合格実績が一番のお気に入りなのです。今年の結果の悔しさもあり、この合格実績を何度も見て、元気をもらっています。確かに、1期生や他の学年の子たちと比較すると、高い能力の子はいなかったかもしれませんが、隅から隅まで、全員が、本当にがんばっていった気がしてならないのです。それぞれが、自分の持っている力を精一杯発揮していった、すがすがしさを感じるのです。

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私の住んでいる近くに、いくつかの有名な塾があります。塾の窓や壁に、大きな派手な文字で、『 ○○学校○名合格』などの宣伝文句が踊っています。それを見る度に、大手塾の責任者からの、昔のアドバスを思い出してしまいます。そして、その宣伝に載っていない子たちのことを思ってしまいます。

 

◇ 子どもが輝く瞬間(とき)

 

今日の受験界は、『無理』を子どもたちに強いています。合格実績競争のために、早い時期から難しい問題が子どもたちに与えられ、多くの宿題が子どもたちに課せられています。このことは、単科塾や個別指導の塾が増えていることでも明らかです。

このような状況は、早熟で能力のある子たちにとっては有効であるかもしれませんが、早い時期からふるいにかけられた子どもたちは、伸ばせるはずのものも伸ばせず、勉強が嫌いになったり、受験を断念したりしているのが現状です。

私は、早い時期から、子どもたちに『無理』を強いなくても、子どもの成長に合った環境を用意していけば、子どもたちは成長していくものだと信じています。

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自然界の草花は、それぞれに合った環境の下で成長して、時がくれば、きれいな花を咲かせます。

子どもたちも、成長に合った環境に置かれていれば、必ず、『輝く瞬間』がやってくると信じています。

 

4年生では、塾が楽しい。

5年生では、勉強が楽しい。

6年生では、もっとがんばりたい。

 

子どもたちが、このように成長する環境を考えています。

◇ 宿題を超えるもの

 

限られた授業時間内では、新しい内容を説明し、それと同じような例題を解かせるだけで精一杯です。当然、できるようになるためには、それだけではだめで、多くの練習量が必要です。そのために沢山の『宿題』がでるわけです。

やっかいなのは、この『宿題』です。

授業をしっかり聞いて理解できる、能力のある素直な子にとっては問題ありませんが、多くの子は、宿題がしっかりやれていないのが現状です。

ごまかして宿題をやっている子、叱られながらやっている子、親が傍にいてやらされている子が・・・ほとんどです。

塾の合格実績をしっかり見ると分かりますが、(どうしても上位校の合格に目がいってしまいがちですが)、ほとんどの塾では2極分化がおきているのです。

『できる子』と『できない子』です。

その主な原因は、宿題をしっかりやった子と、宿題をやらなかった子の差です。

結局は、子どもたちの成績の伸びは練習量で決まってしまいます。その練習量を支えているのが、多くの塾では宿題です。

 

成長するためには、絶対、練習が必要です。問題なのはその練習のやらせ方だと思います。

私は、『宿題(しゅくだい)』にこだわるから問題があるんだと思います。

結局は、教えたことが、身について使えるようにすればいいわけです。家でやらなくても、塾の中で『塾題(じゅくだい)』として練習すればいいわけです。

がんばる仲間がいる。そして、かまってくれる教師がいて、アドバイスを受けたり、色んなことが相談ができたり、すぐに質問ができたり、このほうが、楽しく、健康的で、自然です。 (今年の5年生の様子を見ていると、このことを強く感じます。)

 

そして、一番言いたいことは次のことなんです。( これまで書いたことは、宿題でやることとそれほど変わりません。)

塾の中で、『塾題(じゅくだい)』をやりながら練習を重ねた子どもたちは、結果を出し始め、自信をつけ始めてきます。すると、自然に、もっと高い結果を求めて、自分から家でも勉強するようになります。

(今の6年生たちが、このような動きに成りつつあります。そして、RОNちゃんが最終的に求めているものも、ここなんです。)

 

2019年度から、RОN塾では、『宿題(しゅくだい)』を『塾題(じゅくだい)』と変えていきます。

 

  ※ この文章は、ブログ『RОNの風景』に書いたものを手直ししたものです。

 

◇ RОNの道

現在のアメリカで、IТ産業おいて優秀な人材は、イスラエル人とインド人であると言われています。

イスラエル人の多くは、子どもの頃からユダヤ教の経典を暗唱させられています。

インド人の多くは、子どもに二桁の九九をさせることで有名です。

このように、子どもの頃に、暗記と詰め込みをさせられた人たちが、アメリカの最先端であるIТ産業おいて活躍しているということです。
また。日本においても、戦後の高度成長を担ってきた人たちの多くは、尊厳のあった教師のもとで、厳しく漢字を覚えさせられ、繰り返して計算練習をやらされてきた人たちです。
このことから考えると、暗記と詰め込みが、人間の能力を開花させるために役立っているといえないでしょうか。
スポーツ界においても、今話題の卓球やフィギュアスケートの選手を見ていても、学習における詰め込みと共通する、徹底した基本の反復練習をさせられた子たちが、とんでもない活躍をしています。

 

人が成長するためには、基本となるものの反復練習が大切ではないでしょうか。

スポーツ選手は、基本の反復練習によって、体を作り、気持ちを育て、応用動作が出来るようになっていきます。

勉強においても同じだと思います。
日本には、『 読み書きそろばん 』という素晴らしい伝統があります。これこそが、基本の反復練習を象徴するものだと思います。

この伝統を見直す必要があると思います。